平泉世界遺産ガイダンスセンター センター長 八重樫忠郎さん インタビュー

平泉人 hiraizumi-people ...
2025.06.09
平泉世界遺産ガイダンスセンター センター長 八重樫忠郎さん インタビュー

・今までの職歴について伺います。

平泉町役場職員として、大学卒業後入庁してから定年まで勤めました。当初は、教育委員会文化財部門発掘調査の専門職として従事しています。2000(平成12)年から世界遺産登録に向けての取組みに関わるようになり、2011(平成23)年に世界遺産登録が実現しました。登録後は、総務課配属になったのち、まちづくり推進課長・観光商工課長として勤務し2022(令和4)年3月に定年を迎えました。定年後は、秋田県横手市の発掘のお手伝いや実家の整理を1年ほどして、2023(令和5)年4月からガイダンスセンター長として勤務しています。

柳之御所やガイダンスセンター付近の開発経緯について教えてください。

柳之御所遺跡は北上川に削り取られていたというのが、以前は通説になっていました。昭和の終わりに、国道4号線のバイパスを造ることになり、数十軒の家が立ち退き、大規模な遺跡発掘調査が行われました。そこで、柳之御所遺跡が見つかり、国会で取り上げられるほど大きなニュースとなったのです。遺跡の保護を巡り数年かけて議論が交され、北上川を東側に動かすことで柳之御所遺跡の保存が決まりました。今のバイパスは、以前の北上川の上を走っています。

発掘した中で印象に残っていることは何ですか?

平成の初めの頃、通常業務は発掘調査の現場を管理する仕事でしたが、平泉町役場近くの発掘現場から井戸が見つかったので、人出が足らないから手伝ってほしいと依頼があり、急遽井戸の発掘を一人で行いました。そこで出てきたのが、完全な状態の「白磁水柱」。発掘されてすぐに重要文化財に指定されるなど、全国でも話題になったものです。

発掘したときの感動はいまだに忘れることが出来ません。現在は、平泉文化遺産センターに展示されていますので、ぜひご覧ください。

<写真提供:平泉文化遺産センター>

センターの役割や世界遺産について教えてください。

国道4号線バイパス沿い、交通アクセスがいい場所にあります。平泉観光の入り口として、そして盛岡・青森に向かう北東北観光のスタート地点として魅力発信をいければと考えています。

奥州藤原氏初代清衡が造営した中尊寺や2代基衡が造った毛越寺、妻が建立した観自在王院跡、3代秀衡が建立した無量光院跡、そしてそれらの目印にされが世界遺産平泉の構成資産となっています。(2025年4月現在)

仏教が日本に伝えられたことを示す証拠があること、浄土思想を背景として現世における仏国土(浄土)が様々な形で寺院・庭園に表現されていること、寺院・庭園が現存していて適切に管理運営されていることが評価され、世界遺産として認定されています。

(ガイド研修時の講義風景)